糺の森のアルキオーネ

ただすの もりの あるきおーね

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

⒎ ハコニワでの邂逅(かいこう) ①

とてもさみしかった。 テレビに重なるようにして目に入る短く刈り上げられた見慣れた後頭部。 お笑い番組に合わせて響き渡る男性にしては少し高いカンに触る 笑い声。 ゆすり上げられる以前より少し丸まった両肩と背中。 スクリーンセーバーでもかけないと網…

⒍ 2009年9月9日⑤

マンションの9階の窓から 空を眺めている 肉体の自分と 空いっぱいに広がってしまったかのような 意識の自分との 不可思議な 二重性を感じながら 大きく広がった方の自分はまるで 自らの内に 台風を吸収してしまったかのような体感と 驚きに満ちていた。 台…

⒌ 2009年9月9日④

そんな不思議な感覚を味わいつつ 眼前に広がる 風と雲のショウに魅入る。 ああ、まるで 龍の巣だ。 生暖かい風を 胸いっぱいに吸い込みながら 暫し(しばし) 時が経つのも忘れていた。 ……どのくらい そうしていただろうか ふと…… なんなんだろう…… この じ…

⒋ 2009年9月9日③

銀河鉄道999 というアニメをご存知だろうか。 少年が 永遠に生きられるという 機械の体を手にするために謎の美しい女性メーテルとともに 銀河鉄道で宇宙を旅する。 なぜかはよくわからないけれどどうしようもなく惹かれて仕方のないアニメだった。 そして今…

⒊ 2009年9月9日②

大きな台風がやって来る。 最大風速55メートル中心気圧910ヘクトパスカル それが、日本列島の背骨を縦断し今、まっすぐ私の住む 福島県福島市に向かってやって来るのだ。 台風の目ってどんな感じなんだろう噂には聴けど 体験したことはないじゃないか。 それ…

⒉ 2009年9月9日 ①

その日私は 自身の住む福島市のマンションの 大きく開いた南側の窓から(今 氣づいたのだけれど 『9階』に住んでいた!)文字通り 風雲急を告げる 灰色のちぎれ雲たちが 空を舞うのを わくわくしながら見渡していた。 生暖かいかぜが頬を撫で髪を荒げさせる…

⒈ いにしえの 〜プロローグ〜

古(いにしえ)からの木々が 私たちを あたたかく みまもっている。 おかえり。 やっと はじめられるね。 ずっと待っていたよ。 いまから始まるのは 決して 生易しいことではないけれど でも君たちは ここまで来たんだ。 ゆいいつの還りみち その入り口に。